埼玉県市民ネットワーク通信 NO.38 2006年7月

【目 次】


━STOP議員年金━ 街頭署名でよびかけました

国会議員年金はすでに廃止が決まったものの、既受給者への公費負担は延々と続く、という状況の中で、「地方議員年金制度改正案」が国会に出されました。平成14年度に上げた公費負担をさらに引き上げて、存続を図ろうとするもの。

  • 「1人1年金」の原則に反し、国民年金・厚生年金などとは別に加入できる。
  • 市町村議会・県議会・国会議員として二重三重に税金の恩恵を受けられる。
  • わずか12年加入で終生受給、孫にまで遺族年金受給権がある。
  • 高齢化や市町村合併で受給と負担のバランスがくずれ、公費負担が増え続ける……

という特権的なものです。

「地方議員年金廃止」に向けた神奈川ネットの運動に呼応して4月末~5月上旬、富士見・三芳両ネットは署名活動を行いました。平日の夕方鶴瀬駅前の街頭署名では、主婦の反応が良かった反面、男性はいまひとつでした。(お疲れか?)

富士見ネットでは折良く、発送する「通信」に署名用紙を同封したところ、お年寄、主婦を中心に積極的な協力を得られ、関心の高さがうかがわれました。

こうして連休明けにしっかりと国会に届けた署名(神奈川と埼玉合計10,572筆)でしたが、審議前の民主党との意見交換やロビー活動にもかかわらず改正案はあっさり全員一致で可決されてしまいました。

大多数の市民が年金への不安を抱えている中、議員だけが特権的な「議員年金」に安住していては市民の視点に立った政策づくりはできません。より広汎で粘りづよい取り組みが必要です。 

(富士見 持田紀美恵)


憲法・教育基本法改訂反対

通常国会が6月18日に閉会し、「教育基本法改正案」「共謀罪創設法案」「憲法改正に向けての国民投票法案」は継続審議となりました。

法案成立は免れましたが、再提案必至と予想されています。一連の動きは、今まで60年間平和憲法の下一度も戦争をしなかった日本を、戦争が出来る国にしようとしているとしか思えません。

教育基本法「改正」案は第2条に(教育の目標)を新設し、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」としました。「愛国心」をわざわざ条文にいれる真意はなんなのでしょうか。戦前の教育を振り返る時、歪んだ「愛国心教育」によって学業半ばで戦場に送りだされ、多くの若い命が失われた歴史を忘れる事は出来ません。

おりしも県内の一部小学校で、通知表に愛国心評価の項目が入っていることが明らかになりました。学習指導要領が「国を愛する心情を育てる」ことを目標に挙げており、学校現場のこの自主的ですばやい反応には、危機感をおぼえざるをえません。

  • 「愛国心」強制が懸念される教育基本法の改訂に反対します。
  • 世界に誇る平和憲法の改訂に反対します。

(平和委員会)


韓国統一地方選をみる

日本でいうと、都道府県知事と市町村長、地方議員全員を選ぶ一大イベントです。

5月初旬のソウル、道路沿いのビルには20畳もありそうな候補者の写真が何枚もかかっています。道行く人に候補者がカラフルな名刺を手渡す風景にびっくり、予備選挙期間中の一こまです。

(ネットや生活クラブと手をつなぐ)韓国の女性民友会、生協、環境団体などの市民団体は、自分たちの思いを実現させるために、これまでも国政や地方政治に仲間を送り出してきました。しかし今回選挙制度が大きく変わり政党候補に有利、市民派無所属候補には大変厳しい状況が伝わってきました。

5月末の投票に向けて彼女たちがどのような選挙をやっているのか、全国ネットの仲間と陣中見舞いにいきました。

事務所には花や絵、写真があふれ、たくさんの女性が集まり明るい雰囲気。 食・教育・環境の政策を掲げていること、知り合いを中心にミニ集会を開き対面で支持を得る手法はネットと同じですが、地方議員の10%が比例選出となり、政党名簿の奇数番に女性を入れるルールが今回導入されたことから、比例名簿用女性リストを政党に提出し、大きな成果をあげました。

国政(14%)に続き地方でも2.2%→14.5%と女性議員が急増。(日本はたったの7.8%)また投票が19才からとなり、若者への選挙啓発にも取り組んでいました。与党ウリ党が大敗し国政が不安定な韓国ですが、地域の女性たちは着実に運動を進めていることに力をもらいました。 

(藤本)


合併して見えたこと(生き活きネットワーク吹上)

もっと住民の声を聞いて、町政はこうあってほしい、との思いからネットを立ち上げ、代理人を議会に送り出し9年。必ず傍聴に行き、私たちの声を町に届けて、町も議会も変わってきたと実感していました。その吹上町が昨年10月鴻巣市・川里町と合併し「鴻巣市」に。

合併してみて、吹上町も満更捨てたものではなかったことに気づきました。人口3万人弱、町域も狭いので住民が町政に関心を持ち、役場や議会も町民の目を気にしていた様です。

国の合併に対する掛け声は、「サービスは高い方に・負担は低い方に」でした。そんなこと出来るはずがないと思っていましたが、やはり無理なようで、大きな鴻巣にあわせてしまいます。

今一番の問題はネット名称と来年選挙のことです。「吹上」は馴染みがあり捨てがたい、いや鴻巣市になったのだから「生き活きネットワーク鴻巣」にしないと、と運営委員会でも意見が様々です。

鴻巣市議会傍聴に行き、形式的だった昔の吹上議会を見ているようでした。来年の統一地方選挙にも代理人を送り出したいと考えています。 

(竹花道子)


おおき~なぁ 川口(市民ネットワークかわぐち)

荒川をはさみ東京に隣接する川口市は人口50万人、JR「川口」「西川口」「蕨」「東浦和」「東川口」駅に接し、人口約6万の鳩ヶ谷市をぐるりと囲んでいる。川口・鳩ヶ谷の合併は新しい市の名前で折りあわず決裂したままである。

地場産業である鋳物が衰退し工場跡地に次々とマンションが建ち並び、「植木の里安行」と言われた緑豊かな土地も地の利のよさや後継者不足などにより、小規模な宅地化がすすんでいる。

この川口で私たちは今、来年の統一地方選に向け仲間を増やすため、各地域で大型紙芝居「ネットって楽しいねっと」を上演し始めたところである。

駅周辺に行くことは多いけれど、それ以外の地区へは初めてということもあり、川口にもこういう所があったんだと再認識したり、小学校の遠足以来という場所もあったりで、「あヽ広いなあ」と痛感している。 

(吉田幸子)


公園づくりとローテーション(越谷市民ネットワーク)

ネットには『議員は2期8年』というローテーションのルールがあります。これがネットの「自治する市民の輪を広げる」という目的を達成する上で非常に有効なものであることを実感しています。

越谷ネットでは3年前、議員だけでなく当初からの運営委員のほとんどがローテーションしました。辞めた委員はワーカーズやくらぶルームで活動するほか、ネットの重要案件について相談機関的な役割を果たすと共に、地域選対に加わるなど、ネット活動の層を厚くする役割を果たしています。

市議をローテーションした私は、県ネット役員、越谷ネット運営委員を行いつつ、地域でさまざまな活動を続けています。その一つに公園を通した市民参画の試みがあります。

この4月私の地域にオープンした公園は、7年前の署名活動から実現に至ったものです。近辺の方による実行委員会がイベントを準備し、120名以上の参加でにぎやかにオープンすることができました。今後遊具や樹木、トイレなどの設置にあたっては、住民によるワークショップで、と市に要望してあり「協働」の実践モデルになれば、と考えて活動しています。

自治する市民の輪を広げることは長い期間と種をまく大勢の人の存在があってこそできることです。ローテーションのしくみがそれを後押ししています。 

(加藤佳子)


ビデオ上映会「鷹巣町その後」━見えた三芳町の課題━(ネットワーク三芳)

『福祉のまち』として知られた鷹巣町は岩川元町長と住民が、デンマークの福祉を学び鷹巣に必要な福祉を作りだしてきました。

驚いたことに、町村合併を問う町長選で現職が、合併賛成派の「福祉偏重だ」「身の丈にあった持続できる福祉を」「高機能病院こそ必要」と訴えた新人に敗れてしまいました。

05年3月、周辺3町と合併して北秋田市となりましたが、その前後から福祉予算は大幅カット、全国で初めての『高齢者安心条例』は廃止と大きく変わっていきました。

鷹巣町の24時間派遣の在宅ケア、福祉公社が運営する『ケアタウンたかのす』など、十分な人手は老後の安心をもたらしてくれました。「住民の老後に自治体が責任を負う」姿勢が崩れ、事態に右往左往する住民たち。最後まで尊厳を保ちながら生を全う出来るまちは遙か遠くなりましたが、小さな芽は今巻き返しを図っているといいます。

上映会は少人数でしたが、前編、後編と2回共いらしてくれた方と話し合いの場をもてました。介護施設や医療系の施設が数多くある三芳は、在宅ケアの充実が大きな課題です。まだ高齢率が低いうちに、多くの方に関心を持ってもらうため今後も上映会を開きます。 

(新 恵美子)