埼玉県市民ネットワーク通信 NO.34 2005年7月

【目次】

住民基本台帳 大量閲覧の現状を診る

住民基本台帳は、住民基本台帳法に基づき、住所・氏名・性別・生年月日がリスト化され、誰でも申請により、原則として大量閲覧できる。

営業目的でも、閲覧することを認めているだけでなく、閲覧した内容は書き写して持ち帰ることができる。個人の意思に関係なく送られてくるダイレクトメールのデータになり、また愛知県ではこの制度を悪用して母子家庭へ犯罪も起きた。

閲覧状況は越谷市を例にとると、3ヶ月で公共機関も含め222件、延390冊が閲覧されていた。個人情報保護法が制定され、個人情報の保護が保障されているにもかかわらず、一方で法に基づきその情報が流用されている現実に、疑問を抱かざるを得ない。

ネットは一般質問で取り上げ、改善を要望した。その後の運用面での対応、動きを見てみると

  1. 「法律改正を国に求める意見書」
    議員提出議案可決(6月議会)。
  2. 使用目的の明確化などを規制する。
  3. 何人でも申請でき閲覧できた。
    申請者を1人に限り、記載用紙を限定し、私物の持ち込みを禁止する。
  4. 簿冊が世帯ごとに記載され、家族構成が一目瞭然。個人単位に並び替える。
  5. 閲覧料金(6月議会で手数料条例の改正)1冊2,000円を1人200円に。

など、提案の効果が感じられた。

富士見・三芳・吹上各ネットでも、代理人がその問題点を一般質問などで指摘し、申請者の法人登記を確認するなど、運用面で改善が進んだが、なんといっても国の抜本的改正が欠かせない。

10月をめどに法改正の動きがあるので注目していきましょう。(越谷 今村久美子)


高橋さんから加藤さんへバトンは渡った!(富士見市民ネットワーク)

富士見市民ネットの運営委員会が、代理人選考委員会立ち上げで動き始めたのは10月でした。4年前、高橋たみ子さんがネットの代理人として初当選をしてから、早いもので改選の時期を迎えようとしていました。

今期のネット総会で「代理人の複数化」が議決されていましたが、議員定数を大幅に削減する提案がされる見通しが明らかになっていました。論議の結果、運営委員会は「1人」の代理人で選挙を考えていくことになりました。

その後も、なぜ新人にするのか、少ない人手でどう選挙を戦うのか、など問題はたくさんに。迷いの中で、県ネットをはじめ、お隣の三芳ネットのメンバーや大勢の方たちに支えてもらいました。

「4年前に経験した」ぐらいの素人の主婦たちが、選挙のやまをこえ当選するのは並大抵ではありません。

結果として、新人の加藤久美子が当選できました。今回はネットを知っているひとだけでなく公民館活動、福祉、教育などの分野にかかわる市民にネットワークが広げられたと考えられます。

先日6月議会を終え、いよいよ、新たなネット活動が始まりました。市民の期待と課題は大きく、内部的には不十分ですが、少しずつ前に進もうとしています。(加藤久美子)


団塊の世代に聞きました

ベビーブームに生まれ、経済成長と共に育ち、社会の第一線で日本を支えてきた世代がまもなく定年を迎えます。昭和20~27年生まれの男性117名の協力を得て、「団塊世代アンケート」を実施しました。

最も多い答えを繋ぎ合わせて浮かび上がる世代像を見てみると………

年齢59歳、会社員。23年前、社会経済が右肩上がりの時期に住宅を取得。 85%が健康で、休養や睡眠を心がけ、定期的に健康診断を受けている。

65歳までは仕事をしたいと思っている。妻は専業主婦。テレビ・インターネット・お酒を楽しむ。趣味は映画・芝居鑑賞。夫婦で旅行に出かけ、外での食事を楽しむこともある。これから先、旅行や近隣散歩の時間を増やしたいと思っている。友人は1~5人、スポーツや飲酒でお付き合い………と一人にまとめるのは少し大雑把ですが。

家事は主に妻がしているが、時間があるときは食器洗い・買い物・食事作り・洗濯掃除など手伝う(49%)、家事は気分転換になる。家事を全くしてないは39%。夫婦だけで暮らしているのは29%。

「退職後について」は、夫婦で時々話す63%・よく話す16%。内容は経済的なこと23%、健康17%、旅行などの計画15%、家族のこと12%と続く。64%が今住んでいる町で暮らし続けたいと思っている。

介護が必要になったとき、在宅介護を使って自宅で暮らしたいが66%、施設入所は34%。親はみるけど子に負担をかけたくない世代、社会保障の充実が望まれています。

地域とのつながりが無いと答えた方が必要とする情報は、住民活動グループ活動内容36%・福祉サービス利用方法26%。退職後地域へのかかわりを意識していると読み取れるでしょうか。特徴のあるイメージは浮かび上がりませんでした。

なお回答者のうち51%が「自分が団塊世代とは思わない」と回答。「思う」と答えた49%の方たちが、団塊世代とは「仲間意識が高く人間関係を大切にする世代」「競争ばかりで損な世代」「自立意識が高い世代」と回答しました。

経験豊かなパートナーとして、これから共に地域社会を創っていきたいものです。


志木市がめざす職員30~50人の行政!!

企画立案段階から常に市民公募でやってきた歴史があり、市民も職員も協働することに慣れていると言う。

市民提案に対し「出来ない」という回答はしない。期間を限定し、プロジェクトチーム・検討委員会・ワーキンググループなど、どこで検討を行うかの答えを出すなど、市民参加の受け止め方にルールを確立。

徹底した情報公開も市民参加には重要。市民委員会は市の927業務について検討し、842は公務員でなくても良いと答えを出した。この事業を20年計画で、市民5人以上のグループに委託していく。

地域の改修工事は36町内会長よりなる代表8名で検討し、現場視察を経て優先順位を決める。地元議員の口利きで地域整備が進む自治体が多いなか、地元代表意識の高い市民の、選挙への姿勢を塗り替える画期的取り組みと感心した。(土田公子)


教育と平和のプロジェクト 教科書を比べてみています

今年は中学校の教科書採択の年です。

6月17日から教科書展示が始まっています。「つくる会」では各会場100名の動員を計画しているようです。

教科書検定とは一体何なのか,考えさせられる事態が進んでいます。「つくる会」の教科書を合格させるために基準が変わり,すべての教科書が右傾化しました。「慰安婦」の記述も消えました。

埼玉県市民ネットワークではスウェーデンと日本の「社会」教科書の比較を行いました。こどもたちが大人になる課程で出会う「権利」と「義務」が分かりやすく記載されているスウェーデン、日本のものは法律を覚えるための内容になっています。

さらに比較検討していくために、子供たちがつかっている中学校の「歴史・公民」と「家庭」の教科書を捨てないで提供してください。一緒に考えてみませんか?