埼玉県市民ネットワーク通信 NO.36 2006年1月
【目 次】
市民の声を政策に生かす6つのアンケート ━ いよいよ まとめの段階に ━
埼玉県市民ネットワークは03年統一地方選後、市民の声を政策づくりに生かすため5つのテーマでアンケートを行った(既報)。
最終回の総合アンケートは生活者・納税者の行政に対する意見を詳しく聞きとるもの。
ネットが同時に検討してきた50年先を見すえる「グランドデザイン」とあわせ、07年統一地方選向け政策資料として秋に発表する予定だ。
回答者は255人、96%が女性で、30代、40代、50代が各17%、36%、35%。
行政に優先的に取り組んで欲しいものに○を、取り組むべきでないものに×をつけ、個別・地域の課題も具体的に記入してもらった。
【環境】
ごみの減量・分別・資源化が必要80%。
ごみに対する多くの市民と営利を優先する企業との意識差は大きい。行政を含め実効性ある三者協働の施策が必要
太陽光、風力発電など自然エネルギー推進66%。
県ネットは昨年自然エネルギー講演会を開催したが、参加者の多くから身近でどう実現していくのか分からないと声が多かった。ドイツ、スペインなどヨーロッパ諸国は国の政策で自然エネルギーへの転換を図っている。日本も積極的に自然エネルギーへの転換を行うべき。地方自治体でも地域特性を生かした種類を選び導入を。
山林を守る63%、都市の緑の保全38%など緑のさまざまな効果を評価する声は高く、県の環境税導入・活用が待たれる。
自転車道・公共交通整備で脱クルマ社会45%と、人のための道路整備へ、公共事業の政策転換を求める声も高い。反対が多かったのは、ダム造り21%、埼玉の開発24%。
【食・農】
食の安全性への不信、自給率低下への不安解決には減農薬・化学肥料で環境保全型農業推進69%、産地・添加物・遺伝子組み換えなどの情報公開64%を求めている。遺伝子組み換え栽培規制・表示など「埼玉県食の安全・安心条例」強化が求められる。
直売所増設63%、地域農業振興52%と農業県ならではの地産地消推進を望む声も高い。学校給食に地場農産物をたくさん使うことはすぐ実現可能だ。市民が地域農業にボランティアで協力したいとの声も寄せられた。
【学び・働き】
25人学級・少人数教育62%は、学校の問題解決に有効な方法、地方自治体独自に優先的な財政的措置をとることが必要だ。受験制度見直し44%、考えさせる教科書へ47%など、教育の見直しが求められている。逆に国や県の教育見直しは全体主義の危険な方向の教科書採択や教育基本法改定など、市民の力をあわせることが必要
男女とも育児・介護休暇67%、ワークシェアリングでゆとりと失業対策58%、再就職のため学費や生活費補助36%など。個人の働く権利を保障する施策をヨーロッパから学びたい。若者の労働、特にニート対策やいつでも学びなおせる制度を求める声も高い。ワーカーズやNPOなど市民事業支援33%は、地域の市民力で働く場創出の可能性を示している。
【生活保障】
公平な社会が求められている。児童手当増額39%、保育園・学童保育充実46%,子ども虐待・家庭内暴力サポート48%と、子育て環境の整備が急がれる。
高齢・障がいでも自立できるサービスを62%。しかし、成立した障害者自立支援法は「自己負担なければ、自立なし」で問題アリ!
年金一元化が35%、女性の自立のためにも必要である。移送サービスなど地域に戻る団塊の世代を生かす施策を求める声も。
【市民参加・市民自治】
市民意見を行政に届けやすく64%、公共事業に白紙から市民参加60%、市民活動・NPOと行政の協働50%、行政情報提供の充実49%と、市民は行政に積極的に参画することを望んでいる。形だけの意見聴取や市民参加に反対意見が多い。子育て世代からいろいろな学習機会を求める声があった。
反対意見は議員定数増13%、議員報酬増額14%。ネットの目指す、市民に開かれた議会づくりには、アメリカなどのボランティア議員制度が有効。
【平和】
戦争認識を近隣諸国と共有する取り組み58%、アジアやその他と市民交流46%と、アメリカしか視野に入れない日本の外交に市民が危機感を抱いている。
子ども達の未来の平和は今の大人が守り育てる、平和教育が必要との意見も。
自衛隊の位置づけ法的明確化30%は憲法改定論と結びついているが、方向は不明。憲法九条堅持の意見が多く寄せられた。
【情報化】
個人情報保護強化56%。情報化社会の流れは止まりそうもないが、行き過ぎた現状を憂える意見、大量閲覧制度や情報格差を気遣う声もあった。
子どもの情報教育で選択力を48%は、学校へのパソコン設置というハードの充実よりソフト面で情報教育の充実を求めている。
信頼できる政治に税金払いたい!!神奈川・厚木ネットのまちづくり
市議、県議を経てさらに活躍を続ける又木京子さんを迎え、「福祉のまちづくり」について学んだ。その取り組みはとってもダイナミック!!
市民のニーズを発見して次々に新しい事業を展開している。介護支援・子育て支援・リサイクルショップ……その展開は市民の投資を集め、建物から自前で始まる。スペースがあるから新たな事業も展開される。
介護保険・認可保育・支援費などで得た財政安定で他の事業を支援し、ライフスタイルに合わせた利用と働き方を可能にする。
これまで約250人(主に女性)が4億5000万円の投資をし、約300人の女性がコミュニティーを豊かにするためにモデルを作り実践していくことで政策づくりを探っている、その主張と自立した事業展開に脱帽。制度を使い良くして政治を変えていく。地域事業と政治が一体となった活動に、今後の活動力をもらった。(土田)
安全安心メールがスタート(富士見市民ネットワーク)
小学生が標的になった無惨な事件が相次ぎ大きな衝撃とやりきれなさを覚えます。当市では'04年不審者による子どもへの暴力事件が(未遂も含め)いくつかあり、隣市の事件も報道されました。
保護者から寄せられた不安や要望を受けて富士見ネットは、地域の人・警察署・市自治文化課・教育委員会等への聞き取り、インターネット検索・記事収集などの調査活動を行いました。そして
▼不審者情報の防災無線放送・市HPへの掲載・希望者へメール送信
▼地域住民パトロールの公的支援として「子ども110番の家」の充実
を「緊急性に対応できる」として提案、くり返し一般質問を行いました。
関係部署が互いに主導権を譲り合う状況でしたが、プライバシー配慮の情報の出し方など提案するうちに<安全安心メール>の可能性が示され今年8月、ついに登録・送信がスタートしました。
12月16日現在の登録はパソコン・携帯あわせて411名。やや少ない感じですが、市民への周知方法としては開始時に広報に載せ、最近公民館等へポスターやチラシを配布したそうです。今後もPR方法について提案したり、利用者の声を届ける等フォローしていきます。(持田紀美恵)
協働で勝ち取った越谷市長選(越谷市民ネットワーク)
ネットも政策策定に参加
越谷市で10月30日、現職市長板川候補が三選されました。小泉圧勝の余波で勢いづく保守系候補との戦いは、非常にきびしいものでしたが約7000票の差をつけての勝利でした。
ネットはこの市長選挙に、日常活動をすべて停止して総力戦で臨みました。今ようやくその間の活動を取り戻しつつあるところです。ネットにとって非常に大きいチャンスであった市議補欠選挙に、あえて取り組まなかったことも大きい痛手でした。しかしそれらのことを差し引いても、今回の選挙はネットにとって大きい意義があったと考えています。
「協働のまちづくり」などネットの政策に近い市長が勝利したこと。そのことが県内の市に与える影響が大きいと考えられること。政策中心の選挙がこの市長選挙でも行えたこと。(対立候補は中傷で戦おうとした)。ネットも市長選政策の策定に参加できたこと。集会参加、公選はがきへの取り組みなどで、選挙への市民の参加と信頼関係を広げることができたこと等です。
同時にその板川市政の下で、どれだけ市民政策を実現し制度化できるか、ネットの力量が問われると考えています。4年後の市長選を他政党や団体とどう連携して行うかも今からの課題です。
埼玉の雨水利用状況
天然資源である雨をどのように利用しているか、県ネットは10・11月、県内自治体によびかけ雨水利用アンケートを実施した。
発送45(全市と三芳町・寄居町)回答35(回答率77.7%)多くの自治体の参加があり、状況が見えてきた。
- 多くの自治体が雨水利用をしていると回答(74%)。トイレや散水に利用している。
- 地下水保全施策として個人住宅の雨水利用促進の補助制度があるか~
「ある」は34%で、全体としてはすすんでいない。雨水浸透枡の無償提供や不用合併浄化槽の転用に補助している自治体があるが数例に過ぎない。 - 浸透性舗装している道路があるか~
「ある」は82%で、歩道の舗装に透水性舗装を行っている。
県からは、平成17年3月より原則として歩道舗装の新設・修繕を行う場合、すべて透水性舗装で実施する方針であり、車道は耐久性の問題から実施していないと回答があった。
この結果を基に県ネットとして、ダムに頼らない水の利用を進めるためにも雨水の利用を促進し、地下水の涵養に努める政策を提案していきます。(水部会)